書籍「達人が教えるWebパフォーマンスチューニング」を出版します #ISUCON本

こんにちは、whywrite.it 執筆班の @whywaita です。

このたび私が執筆に参加した「達人が教えるWebパフォーマンスチューニング 〜ISUCONから学ぶ高速化の実践」が出版されることになりました。

※上記以外のプラットフォームでも発売予定、詳細はこちら

「Webアプリケーションをより高速化したい!」と誰もが思ったことのある願望を叶える素敵な本になっております。ぜひお買い求めください。

目次はこのような感じです。ISUCON優勝者・関係者のレジェンドが集結、レビュアーも含め超豪華メンバーでお送りします。

  • 1章 チューニングの基礎知識 (@netmarkjp)
  • 2章 モニタリング (@whywaita)
  • 3章 基礎的な負荷試験 (@fujiwara)
  • 4章 シナリオを持った負荷試験 (@fujiwara)
  • 5章 データベースのチューニング (@kazeburo)
  • 6章 リバースプロキシの利用 (@catatsuy)
  • 7章 キャッシュの活用 (@catatsuy)
  • 8章 押さえておきたい高速化手法 (@catatsuy)
  • 9章 OSの基礎知識とチューニング (@whywaita)
  • 付録A private-isuの攻略実践 (@fujiwara)
  • 付録B ベンチマーカーの実装 (@rosylilly)

上記にあるとおり、「2章 モニタリング」と「9章 OSの基礎知識とチューニング」を担当しました。

自分とISUCONの関わり

学生時代、一番最初にバイトで入社した会社の先輩(かつ大学/サークルの先輩)が学生枠で本選に出場していたのがISUCONを知ったきっかけでした。

それから学生枠としてISUCON5から出場、ISUCON6から現在のメンバーで常に参加しています。ISUCON8では学生初の優勝(その後学生1人の優勝者が出るわけですが)、社会人になってからはISUCON10でインフラ提供として運営側で参加しました。

nariさんの記事中にも書かれていますが、インフラエンジニアである(あった)自分が「インフラの設定変更だけではどうにもなりづらい世界だな」と感じた大会でもありました。

(今回の共著者でもある)kazeburoさんがインフラの設定変更のみで予選突破ラインを超える記事を書かれたのがISUCON4の時期ですが、現在のISUCONはインフラ側だけでは勝てない大会に変容しており、自分のキャリアやスキルを考えるきっかけになっていきました。

アプリケーションを高速化するためには、1つの知識を伸ばせば良いわけではなく「Webサービス」という提供しているもの全体に対する深い知識が必要になってくるように感じていました。

本書について

そこで「Webサービスを高速化する」という1点に着目したのが本書です。

そもそも「高速化」とはどういう状態を指すのか、どのようにして高速であることを示すのかなどの概念や考え方の説明から始まり、catatsuy/private-isuを題材に実際にWebアプリケーションの高速化で使えるテクニックや考え方についてまとまっています。

と、言うには容易いのですが実際に書籍の形で出版しようとするとかなり大変でした。どのように書けば読者の方に理解しやすく、伝わりやすい形になるのかが書きながらも悩み続けていました。

執筆中は映画「シン・ゴジラ」の間准教授のセリフがずーっと頭に浮かんでいました。

実際には執筆後多くの方にレビューいただき、自分が見えていなかった視点も含めてブラッシュアップされ、読みやすい内容になったのではないかと思います。レビュアーの皆さま本当にありがとうございました。

それでもなお、一部(特に私が担当した9章とアプリケーション高速化部分)では相互に知識を参照するような部分や、読みやすさのために若干重複した部分があります。これは「Webサービス全体」を知るために必要な知識があまりにも大きく多岐にわたり、それぞれが複雑に絡み合っているという事実の裏返しでしょう。

書籍にするため1章から順に読めるようにはなっていますが、何度か読み返しながら必要な知識を学びつつ読んでいくことをおすすめします。

個人視点の思い

繰り返しになっていますが、ここまで豪華なメンバーでの書籍はなかなか出るものではないと思いますし、それほどまでに著者の皆さんがWebサービスについて思いが強いメンバーによる書籍になったのではないかなと思います。

レビューに参加していただいた皆さまも同じくそのぐらい熱量のあるレビューをいただき、本当に良い機会になったと思います。特に「2章 モニタリング」は共著者であり私のエンジニアリング人生の最初のバイト先で(当時)CTOをされていた @netmarkjp さんをはじめ、その当時の先輩の皆さま、監視SaaSのプロダクトマネージャーをされていた方、数十年現場で監視設計をし続けていた方など、「もうここのメンバーだけで本を書けるんじゃないか」と思うぐらいには恵まれた執筆環境でした。

本当に一緒に何か作ることが出来て嬉しいメンバーでした。皆さまありがとうございました。

  • 藤原俊一郎 @fujiwara (2011年より面白法人カヤック。SREチーム所属。ISUCON優勝4回、出題3回)
  • 馬場俊彰 @netmarkjp (株式会社X-Tech 5取締役CTO、株式会社iCARE技術顧問。ISUCON第一回にプロジェクターを持ち込んで参加しSELinux=Enforcingで入賞)
  • 中西建登 @whywaita (株式会社サイバーエージェント所属。ISUCON8にて史上初の学⽣総合優勝)
  • 長野雅広 @kazeburo (さくらインターネット株式会社所属。ISUCON1、ISUCON2、ISUCON9予選で問題作成。参加者として優勝も予選落ちも経験)
  • 金子達哉 @catatsuy (株式会社PR TIMES開発本部長CTO。ピクシブ・メルカリを経て現職。ISUCON9予選・ISUCON6本選出題)
  • 草野 翔 @rosylilly (宇宙海賊合同会社代表、株式会社ハンマーキットCTO、株式会社 Tech Consiglie CTO、プロモータル株式会社相談役、IPTech特許業務法人技術顧問。ISUCON9優勝、ISUCON4とISUCON10出題)

おわりに

以前ISUCON運営である941さんとインタビューを受けたことがありました。

その際に941さんがおっしゃっていたことの中で印象に残っているのがこの部分です。

つまり、万人に関係があるんです。そう考えれば、こうしたイベントをきっかけとしてそれをやれるエンジニアが増えるのは社会にとっていいことだと思っていて。その意味でも可能な限り続けていきたいと思っています。

寿命が縮まる、人生が変わる…8時間耐久でインフラ技術競い合うISUCONの魅力とは?過去優勝者・主催者に聞く – エンジニアtype | 転職type https://type.jp/et/feature/13831/

この書籍もまた、Webに関わるエンジニア万人に関係ある書籍であると思っています。この書籍によって、日本中のWebアプリケーションがまたもう1段階早くなること間違いなしの一冊です。ぜひお買い求めください。

お断り

fujiwaraさんの記事より引用します。

(お断り) 本書と ISUCON 12 との関連

自分は今年の ISUCON 12 の作問担当でもありますが、作問の話自体はこの本がほぼ書き上がってから来たため、本書の内容と ISUCON 12 で出題される問題の内容に、関連は特にありません。念のため。


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